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「有名なERP」なのにトラブル頻発!のナゾ




 とある会合での、システム担当者同士の会話。「ウチさー、この前社長の肝いりでERP入れたんだけどさー、これがまた使えないんだよなー」「え、確か○○○でしょ、おタクが入れたERPって? あんなに高いのに、そんなにトラブル多いの?」「うん、ブランドものだから俺も安心してたんだけどさー、動かないし修理には来てくれないし…ホント、参ったよ」

 なんだか散々な言われようですね。かわいそうなERP。でも、ERPの導入がすすむにつれ、こうした会話が増えてきたことも事実です。その主な不満を拾ってみると…

 1)思い通りに動かない、エラーが出る
 2)カスタマイズに手間がかかる(or対応できない)
 3)結果として導入までの工期が長い
 4)その割に(目が飛び出るほど)高い
  云々。

私たちにとっても耳の痛いお言葉なのですが、不思議なことに、こうした不満の多くは業界を代表するERP、とりわけ海外製品導入の際に良く聞かれます。これはいったい、どうした訳でしょうか?

原因として考えられることは二つ。
 ■海外製品そのもののアーキテクチャに由来するもの
 ■海外メーカー(およびベンダー)の姿勢に由来するもの

ここではERP導入、特に海外製品導入時に注意しなければならないポイントについてご説明しましょう。まずはアーキテクチャの特徴について。


日本の一流企業は「大企業」か?

 最初にERPの定義についてのおさらい。ERPとはEnterprise Resource Planning の頭文字。つまりエンタープライズの社内資産をプランニングする(そのままですが)ソフト、ですね。大きな誤解は、Enterpriseを「企業」と訳してしまうことから始まります。

「え? だってウチは東証一部上場だもん、立派なエンタープライズ、大企業でしょ?」
残念ながら海外メーカーもそう思ってくれる、とは限りません。海外製品にとってのEnterprise の目安とは…

 ・世界中に数十の工場(拠点)を持ち、
 ・世界を市場とした企業活動を行っており、
 ・CPを発行し直接金融市場で資金を調達している会社、
 等々。

つまり「Enterprise」向けのERPは、異なる国籍・通貨・法制度、そして文化の違いを越えて業務を「統合」するパッケージソフトなのです。当然、システムも大掛かりになるしコストも高くつきます。
一方で、日本の企業の多くはそれほど数多くの海外拠点があるわけではありません。せいぜい国内に十数ヶ所の会社が大部分ですよね。つまり、売上高ではなく「世界で生産・世界で販売しているか」を基準にすると、一流企業といわれる会社でさえ大部分は「ジャパンローカル」な企業、すなわちEnterpriseとは言いきれないわけです。

「でも、それは企業規模に合わせてカスタマイズすればいい話でしょ? 問題ないじゃん」

ところが、さにあらず。海外製品の場合、会社の規模に関わらずシステム一式がコンポーネンツとして納入されるため、企業によっては不要な機能が山ほど出ます。この「使わない」機能が大問題!なのです。

例えば、ある海外製ERP(日本でも良く名前を聞く有名な製品)は、全ての項目が最終的に『会計に入力するため』に設計されています。生産管理、人事管理、その他諸々のシステムはいわば会計入力のサブシステムに過ぎません。
一方で日本のお客様の場合、「統合管理システム」が必要だ、と言いながらも、本当に求めておられるのは「工場管理システム」だったり「バイヤー管理システム」だったりすることがしばしばです。なかなか、企業活動の全てを会計(財務)に還元して一元管理するという割り切り方はできません。

もちろん、どちらの考え方が正しい、ということではないんです。ただ海外製品の場合、本来入力を前提として設計してある項目を無視して動かそうとするわけですから、当然ソフトはエラーを返します。そして、これが本当の問題なのですが、使わない機能は使わない機能として最初から入れなければいいのに、それができない! 導入後に機能を切り離そうとしても、ブラックボックスになっているため、これもできない!

可能なのはただ、カスタマイズで使わない機能を「封印」することだけ。でも相手は迷路のような巨大システム、お札を貼り忘れた「開かずの間」から、どこからともなく未入力情報が忍び寄ってきて…またエラーが出る。そして、その繰り返し。

驚くような話ですが、これが現実です。「世界的な大企業」でない会社に対し、海外製ERPのアーキテクチャはかくもシビアなのであります。ERP導入をお考えの皆さん、皆さんの会社は、このアーキテクチャを本当に使いこなせる「大企業」ですか?


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