― 今回、会計システムをリプレースされたきっかけは何だったのでしょうか?
酒井氏: 旧システムのブラックボックス化が直接の原因です。といいますのも、以前のシステムは経理の担当者が初期の構想段階から20年の間手直ししながらつくり上げてきた、ホスト系の「完全手作りシステム」でした。経理の実務を熟知していた方によるものでしたので使い勝手は良かったのですが、その方が定年退職し、システムを完全に把握する者がいなくなってしまった。結果、システムの構造がブラックボックス化してしまい、今後の運用に不安が残ったのです。 また、会計データを取り出す際もバッチ処理でいちいち情報システムグループにお願いしなければならないという不都合も抱えていました。
― 1つのシステムを20年間使い続けるというのは長いですね。
酒井氏: そうかもしれません。ただ、当時、会計ビッグバンがはじまり、毎年のように会計制度が変わる状況下で、旧システムでの対応が次第に難しくなっていました。 実は、先行して、販売システムを海外製のERPに入れ替えた際に、そのベンダーの会計システムを一度検討したんです。しかし日本の商習慣に対応していないことや、弊社独自の業務に合わせるには多額のコストがかかることから採用を見合わせました。そこで国産であることを前提に、まずは、弊社と既に取引のあるシステム系の会社のパッケージなどを検討し始めたんです。
― 国産であること以外にも選定のポイントを挙げられていたと思うのですが。
酒井氏: 新しいソフトウェアはバグが出やすいと聞いていましたので、ある程度バージョンが進んでおり、導入実績が豊富かどうかなどを目安にしていました。様々なベンダーを検討していたそのさなか、NTTデータシステムズの営業さんが突如“飛び込み”でやってこられました(笑)。話を聞かせていただいたら、弊社が求める条件にフィットしており、有力な候補になっていったんです。
― SCAWを選ばれた“決め手”とは?
山口氏: 提案側と製造側が別々になる会社が多い中、製販一体で自社開発されている点の評価は高かったですね。私たちの要望がダイレクトに開発に反映できると思ったからです。また、プレゼンの際に、こちらからの質問に対して他の会社よりも、製造元会社ならではの的確な回答をいただけたことで信頼感が増しました。
酒井氏: 「業務連動オプション」というシステム連携ツールによって、販売や生産などの他システムとスムーズに連携できるだけでなく、Excelシートで作成した仕訳データの流し込みなども容易に可能になるという拡張性にも期待が大きく、最終的にSCAW財務管理システムに決定したんです。
― 今回のプロジェクトでは、どんな目標を掲げられたのですか?
山口氏: パッケージ導入によりホスト系の旧システムから脱却することが大きなテーマだったのですが、同時に、経理業務のさらなる省力化や社内のキャッシュレス化も目標としていました。ただ、SCAW財務管理システムには可能な限りカスタマイズをしない方針を立てていたので、外付けでWeb申請システムを開発したんです。これは、各支店の営業マンの端末からの、いわば分散入力システムですね。
― こうした現場入力については、システムに慣れるまでに手間と時間がかかると聞くのですが。
酒井氏: 弊社の場合、比較的スムーズに導入できましたね。営業日報の電子化やメールの普及など、社内のIT化の素地ができていたんでしょう。またWeb申請システムは、“科目別ではなく、取引の具体的な名称を選択項目にした”ことで、勘定科目を意識せずに容易に入力でき、営業マンもうまく運用ができているようです。現場で入力されたデータは、SCAWに連動して財務諸表上に仕訳されるので、経理業務の省力化が実現できています。また、上司の承認もすべて画面上で行い、経理に回せるようになったので、ペーパーレス化およびキャッシュレス化にもなっていますね。
― 今回のプロジェクト運営で印象に残っている点はありますか?
山口氏: 今回は、経理グループとNTTデータシステムズさんのスタッフがプロジェクトを担当し、弊社の情報システムグループは、オブザーバー的にフォローするという体制でした。そのため、我々経理担当者が日頃抱えている課題を直に反映できてよかったと思っています。また、弊社側ではあまり人員を割けなかったのですが、NTTデータシステムズさん側のスタッフを増強してもらったので、安心しておまかせすることができました。
― 導入後の運用状況は順調だと聞いていますが、いかがですか。
山口氏: 現在のところ問題なく運用できていますよ。2007年度に減価償却制度の改正があったのですが、きっちり対応していただいたおかげでスムーズに移行できました。これもSCAWというパッケージだからできたと思います。きっと以前のシステムでは対応は難しかったのではないでしょうか。
酒井氏: 旧システムでは一度バッチ処理をかけると、もう触れない状況だったことがありました。SCAWの場合は、入力した中身を見ながら更新できるので便利ですよね。また、ドリルダウン機能も有り難かったです。疑問点を見つけたら深く掘り下げることができ、最終的には伝票まで出して確かめることができるんですから。 また、これはNTTデータシステムズさんへの感想なんですが、何より導入後のフォローの手厚さには驚いています。状況確認のために毎月、定例進捗会議を実施していただいているのですが、弊社が導入する他のシステム関連の会社はどこもやっていないことで感心しています。「問題ないので3ヵ月に一度で大丈夫です」とこちらから訪問回数を減らしてもらったくらいですから(笑)
― 今回のSCAW導入によって、内部統制にも役立っているのではありませんか?
酒井氏: そうですね。システム全体を通して、「誰が、いつ、何を行い、誰が承認した」ということを残しているので、そういう意味で業務の“見える化”が実現でき、内部統制面でも役立っています。旧システムでは、共通パスワードでログインできたので誰が操作したかを特定できなかったのですが、今は、一人にひとつのパスワードで照合しているので履歴も分かるようになっています。
― 今度の展望やSCAWへの要望を教えてください。
山口氏: 今後は管理会計の方面を深く追求していきたいですね。以前より格段にデータを引き出しやすくなったのですが、分析コードは一部しか使っていないなど、まだまだSCAWを活用できていない面もあります。また、SCAWにある配賦機能を使ってみたいですね。現状はまだエクセルの手作業でやっていますから。このあたりもNTTデータシステムズさんにフォローしてもらって、よりよいシステムに育てていきたいと思います。