近年、ディスクロージャー制度の改正が相次いでいますが、企業を取り巻く経済環境が激変するなかで、本当に現在の制度が投資家のニーズに合っているかを再度検討してみることは重要です。ここでは、アメリカで行われた調査結果をもとに、これからの情報開示制度の方向性を考えてみます。
(4)長期的な価値創造に関係する要因

投資家は、経営者が経営管理において実際に重視している指標を見て、過去の財務諸表だけからは分からない事業の将来価値を推定したいと考えています。従来の情報開示制度の中心は財務情報でしたが、経営環境の変化が激しくなり、将来予測において、過去の財務情報の有用性が減少し、社内のオペレーションの状況などを示す非財務情報の重要性が増しています。経営者は、こうした傾向をすでに認識しており、長期的な価値創造に関係する要因、たとえば、重要な事業プロセスの効率性を示す非財務指標や新しい財務指標などを重視するようになり、それを収集するための情報システムの改善を行っています。

投資家が知りたいと考える非財務情報とは、企業の財務諸表に影響を与える特定の事象や活動の状況を示す指標です。たとえば、顧客満足度の改善が将来の売上を増やすことが分かっている場合には、それを指標化した情報が重要になります。近年、投資家の関心が高まっているコーポレート・ガバナンス、企業の内部統制やリスク管理の仕組みも、この例でしょう。もちろん、こうした指標は業種によっても企業によっても異なりますから、他社と同じものを開示したり、実際に経営管理に使用していない情報を新たに収集して開示することは適当ではありません。ここでは、経営者自身、何が将来の事業価値に影響する先行指標であるかを知り、それを継続的にモニターしていることが前提になります。財務指標だけではなく、長期的な価値創造に強い関連を持つ指標を識別し、経営に役立てる仕組みであるバランススコアカードの導入を進める企業が増加していますが、これは、投資家への情報開示にも役立つでしょう。
次は経営者が社内管理に使う情報との連携についてご紹介します。
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