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最近特に「会社の成長と個人の成長」をテーマに掲げている企業が目立つ。理想的には当たり前のようで、実は根深い問題が内在しているというのがこのテーマの背景としてある。誤解を恐れずに言えば、「表面上は好調であるかに見える企業業績の裏で、疲弊している個人が見え隠れしている」というのが現状と言えよう。
要するに「会社の成長のために個人が犠牲になっている」というのが実態なのである。『個を活かし組織力を高める人材マネジメントの手法』のヒントを探っていく本コラムの第2回目は、1回目と同様に、弊社(NTTデータ経営研究所)による独自調査の結果をもとに、働くビジネスパーソンの意識の実態がどうなっているかを確認しつつ、進めていきたい。
■「上司」に対して何が求められているか? |
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仕事をする上で、周囲の人間、特に「上司」との関わりは、個人のモチベーションへの影響という点で、極めて重要な要素となりうる。では、部下にとって望ましい「上司像」とは一体どんなものであろうか?ビジネスパーソンが「上司」に対して何を重視するか尋ねたところ、「能力が高く、人間的に魅力があること」が最も多くあがった(⇒【図1】参照)。
上司に対しては、やはり職位が上である以上、自分よりも能力が高く尊敬できる人物であることを望んでいるのがわかるが、当たり前ともいえるこの結果を、更に注意深く探求する必要がある。この調査結果を時系列比較することはできないが、もし同じ設問を過去(例えば高度成長期)において尋ねていたとしたら、同様の結果が表れたであろうか?
筆者の勝手な推測では、恐らくもっと低かったのではないかと思われる。「上司の能力は高く尊敬できる」というのは事実であるから、より強く重視すべきは他の項目だという仮説である。要するに今の時代、「自分よりも能力が低く、尊敬できない」と思われている上司が非常に多いということである。
別の言い方をすれば、「上司と部下の職位格差(責任・権限)や処遇格差ほどには、能力格差は存在しない」という仮説が浮かび上がってくる。ここに、現代社会における人材マネジメント上の大きなヒントが隠されている。
さらに、同じ設問における他項目を見てみよう。類似した選択肢として「部下の立場や状況を理解しようとすること」と「部下とのコミュニケーションを密にとること」があるが、前者の方が圧倒的に高い支持率を集めているという点が興味深い。現実的なコミュニケーション(対話)よりも、実際に部下を理解しようとする姿勢を上司が持っているかどうかが、極めて重要だということである。
「量より質」と言えなくもないが、問題は「部下を理解しようとする気持ち」がどんな局面で表出するかということだろう。ここに、テクニックとしてのコミュニケーション論の限界があり、本当に部下を思う気持ちを持っているかどうかという「人間的魅力の有無」が問われ始めているという背景がある。

■上司の「強み・弱み」と思われるものは何か? |
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では、上司の「能力レベル」に対する問題意識が明らかになったところで、実際にどんな「強み・弱み」が上司にあると認識されているか、部下の見解を見てみよう。まず「強み」については、「統率力・リーダーシップ」、「判断力・決断力」、「協調性・関係調整力」が上位3項目を占めている(⇒【図2】参照)。
上位項目を見ると、組織をまとめる長として不可欠な能力があがっており、これだけを見れば、部下が上司を頼りにしている様子が伺われる。
一方、「弱み」については、「指導力・育成力」、「統率力・リーダーシップ」、「人間的な器の大きさ」が上位3項目となった。ここで、「強み・弱み」の両者において上位にあがった「統率力・リーダーシップ」のような項目をどう扱うかがポイントとなる。また、「強み」を尋ねた際に低かった項目群が、そのまま「弱み」にはつながらないという点にも留意する必要がある。つまり、重要なのは「強み」とされる値と「弱み」とされる値の差分であることに注目したい(⇒【図3】参照)。 「強み」と「弱み」の差において、どちらがどれだけ大きいかを見ることで、当該項目の重要度(=更なる改善・強化が求められる程度)が示されたことになる。この結果、最も重要度が高いのは「指導力・育成力」で、以下「人間的な器の大きさ」、「コミュニケーション力」、「統率力・リーダーシップ」、「包容力・優しさ・思いやり」がランキング上位5項目となった。これらは、「強み」より「弱み」の方が高く位置付けられているものであり、より上司に足りない能力(=強化して欲しい能力)としてみなすことができる。
本調査は、上司に対して「どんな能力が足りないと(部下から)思われていると思うか」という設問は設けていないが、果たして上司が予想する「自分に足りない能力」と、上記の結果はどの程度合致するであろうか?恐らくかなり異なるのではないかと予想される。
部下が期待する「上司に持っていて欲しい能力」というのは、いわば「組織で上に立つ者が持つべき素養」であるが、これは本人の自覚がないとなかなか向上するものではない。上司もまた、その上の上司に対しては部下となるわけで、どちらの比重が高いかで、強化される能力の質が変わってくると言えよう。
仮設としては、前述した調査結果より、「人の上に立っているという意識が希薄であるが故、(部下から見れば)上司らしさに欠ける」ということなのかもしれない。「終身雇用」、「年功序列」という旧来の日本的価値観が崩壊し、「実力主義」、「成果主義」が新たなスタンダードとなり、「経営効率」と「意思決定スピード」が強く問われ、「組織のフラット化」が進展したという時代背景を鑑みれば、現代社会における「上司」と「部下」の関係が、従来のようには機能しなくなりつつあるのも当然の結果なのである。
次回以降のコラムでは、組織・人材マネジメントにおける一つひとつの事象について考察しながら、具体的な改善策の足がかりとなるものを探っていきたいと思う。

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強み |
弱み |
差 |
| (1) 指導力・育成力 |
16.98% |
32.70% |
-15.72% |
| (2) 人間的な器の大きさ |
12.67% |
24.46% |
-11.79% |
| (3) コミュニケーション力 |
16.22% |
18.38% |
-2.16% |
| (4) 統率力・リーダーシップ |
28.64% |
30.42% |
-1.78% |
| (5) 包容力・優しさ・思いやり |
19.52% |
19.90% |
-0.38% |
| (6) 交渉力・説得力 |
20.66% |
19.14% |
1.52% |
| (7) 積極性・行動力 |
14.96% |
12.80% |
2.16% |
| (8) (業務に関する)高度な知識・スキル |
20.79% |
17.49% |
3.30% |
| (9) メンタルタフネス(精神的な強さ) |
15.08% |
10.39% |
4.69% |
| (10) 論理的思考力 |
16.22% |
11.53% |
4.69% |
| (11) (業務に関する)豊富な経験や人脈 |
16.60% |
11.28% |
5.32% |
| (12) 責任感・コメットメント |
21.04% |
15.46% |
5.58% |
| (13) 協調性・関係調整力 |
24.21% |
18.00% |
6.21% |
| (14) 判断力・決断力 |
26.36% |
20.03% |
6.33% |
| (15) 柔軟性・適応力・順応性 |
23.45% |
16.60% |
6.85% |
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<参考>上記で使用した調査について
調査名: 『ビジネスパーソンの就業意識調査』
調査対象: gooリサーチ登録モニター
調査方法: 非公開型インターネットアンケート
調査期間: 2007年7月13日〜2007年7月18日
有効回答: 1,013人 |