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個を活かし組織力を高める人材マネジメントの手法

貝沼 知徳
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第1回(全10回)
社員が望む「仕事」と「職場」とはどんなものか?


今月初旬(2007年10月1日)の日本経済新聞一面紙上に大きく「個と組織 新たな挑戦」 という見出しが出た(特集記事『働くニホン』より)。日本企業は「失われた15年」に古い殻を脱ぎ捨て競争力を回復したが、職場の風景は一変し、働く現場には息切れムードが漂っている、という内容である。日経新聞では、「働く意欲と効率を両立させ、個人と組織がともに成長するような、新たな働くカタチを作る挑戦が始まった」としている。

さて、この紛れもない事実に対して、実際にどのようなアプローチで各企業は対応策を練っていけば良いだろうか。本コラムでは、今後10回で『個を活かし組織力を高める人材マネジメントの手法』について、様々な観点からそのヒントを探っていきたいと思う。第1回目の今回、及び次回については、弊社(NTTデータ経営研究所)による独自調査の結果をもとに、働くビジネスパーソンの意識が現在どのような状態にあるのか、調査データを紹介しながら確認していきたい。

「仕事」において何が求められているか?

ビジネスパーソンが「仕事」に対して何を重視するか尋ねたところ、「やりがい、取り組みがいがあること(達成感)」が最も多く、「知識やスキル、ノウハウを習得できること(成長感)」、「自分の能力やセンスを活かせること(充実感)」、「成果や貢献度に応じた報酬が得られること(処遇)」の計4項目が過半数の支持を集めている(⇒【図1】参照)。また、これらに次いで「経験や人脈、人間関係を築けること(経験)」も比較的多くあがっている。一方、相対的に低かった項目は「ハードでタフな仕事でないこと/残業が多くきつい仕事でないこと(愉楽感)」と「成功して高い地位、役職に就けること(昇進・出世)」であり、支持率は1割強にすぎない。まずこれが、働く社員の現実の姿と捉えることにしたい。

要するに、かつての高度成長期からバブル期に至るまでを支えた「出世意欲・成り上がり志向」というものは、もちろん個人レベルで考えれば、否定し得ない重要な要素であると思われるのだが、相対的な位置づけで見れば、ウエイトは非常に小さいということである。また、バブル期以降に高まった「プライベート充実志向」は、昨今のワークライフバランスの風潮を考えれば、ただ「仕事」とのバランスが重要視されているのであって、決して「仕事」自体を楽にこなしたいと思っているわけではないことも読み取れる。

つまり裏を返せば、仕事における「達成感」「成長感」「充実感」「処遇」に対する社員の満足度が著しく低い状態にあるというのが、現実認識として近いという仮説が成り立つ。各種人事制度(等級・評価・報酬)の運用や日頃の上司・部下間の関わりを通じて、これらの項目の引き上げ(=満足度の向上)を図るのがマネジメントの本来の役割なのだが、現実にはうまくできていないということである。これでは、社員のモチベーションが削がれてしまっても当然である。会社が狙う業績向上も期待できないだろう。

ちなみにこの調査項目を、評価結果の良し悪し(=優秀な人材であるかどうか≒組織における位置付けの高さ)で比較してみると、「評価上位層」で最も高いのは「知識やスキル、ノウハウを習得できること」であるのに対し、「評価下位層」では「自分の能力やセンスを活かせること」と、大きな違いが見られる。「評価下位層」においては「知識やスキル、ノウハウを習得できること」の支持率は相対的に低く、彼らは自分の持っている能力をまず活かしきることに強く意識が向いていることがわかる。図1 あなたは、「仕事」に対して何を強く求めますか?

「職場」において何が求められているか?

では、「仕事」に対する意識が明らかになったところで、次は「職場」に対する意識を見てみよう。上記と同じ調査で、ビジネスパーソンが「職場」に対して何を重視するか尋ねたところ、「職場のコミュニケーションが良好であること/職場の雰囲気がよいこと」が最も多く、次いで「仕事上の役割や責任が明確であること」、「仕事をする環境や体制が十分に整っていること」が続いた(⇒【図2】参照)。

どんな組織においても、程度の差こそあれ問題点はつきものであり、これを完全に消去することは不可能である。むしろ、より高いレベルまで組織を向上させていく過程で、様々な問題点が発生するのであり、組織が成長する健全なサイクルにあるからこそ乗り越えるべき課題も生じるのだろう。
しかしながら、当調査項目では敢えて「望ましい」とされる選択肢ばかりを設け、その中での相対比較を行うのが目的なので、比率が高い項目は他の項目に比して「問題あり」と断言することができよう。「職場のコミュニケーションが良好でない」、「役割や責任が明確でない」、「仕事をする体制が整っていない」というのは、マネジメントが早急に解決すべき問題と捉えてよいのである。

これらに関しては、様々な背景や数々の方策があり、実際に何も対策を講じていない企業などないだろう。だが、そのやり方に問題があるから、このような調査結果になるのである。第3回以降の当コラムで、一つ一つの対応策や改善策を、問題の本質について洞察しながら考えていきたい。

次回のコラムでは、組織における上司と部下の関係について、調査結果データをまじえつつ解説したいと思う。
図2 あなたは、「職場」に対して何を強く求めますか?

<参考>上記で使用した調査について
調査名: 『ビジネスパーソンの就業意識調査』
調査対象: gooリサーチ登録モニター
調査方法: 非公開型インターネットアンケート
調査期間: 2007年7月13日〜2007年7月18日
有効回答: 1,013人


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